「随分みっちりやったよな。大分進んだんじゃないか?もう昼だしな」


一さんに言われて、午前中ずっと勉強に集中していた事を知る。


「一さんが教えてくれたコツのお陰で、単語と例文が、すごく楽に覚えられました!」

にへ、と笑って一さんを見たが、一さんは私の隣の屍…もとい赤間君を憐れむような目で見ている。


「お前さ、本当に二年生になれるのか?大丈夫か?」


赤間君はあれから一さんに注意をされながら長文に取り組んだが、まるで出鱈目な訳なんかしたりして、かなりガミガミ怒られつつ何とか一つの課題を終わらせていた。


「昼飯は近所のファストフードでいいかな?スーパーの惣菜でもいいけど」


この寮では昼食が出ないから、昼食は各々で用意しなければならない。


「俺、焼き肉バーガー食いてぇ。あとチリドッグ」

「俺はなんでもいいですよ」

「あ、私もなんでも……」

「なら、ファストフードの方だな。翔の我が儘を聞いてやるか。午後からは違う教科をやるから」


一さんと秦野君はもう立ち上がり、玄関へ移動していた。

私も管理棟の玄関から出ようと立ち上がったが、その手を赤間君に引かれた。


んーだよ、まだ何か文句あんのかよ?


「……お前さ」

「はい?」

「あのさ……」

「なんですか…?」



私を呼び止めたものの、俯いた赤間君はどうも歯切れが悪くて、私は若干段々苛つきながら聞いていた。



「……やっぱ何でもねぇ」

「あ、そうですか」


なんだよ一体!?何が言いたいんだよ!?