「この女可愛くねぇ。聞いてんだから教えてくれたっていいじゃん?」

「授業中に聞いていれば良いだけの話ですよね。それから秦野君、赤間君の回りの女の子は皆、喜んで赤間君に教えるとでも?」


ウゼェよ、阿呆。可愛くなくて良かったよ。

お前に可愛いなんて思われたくない。


「まぁ、ね。翔と話せるなら争ってでもって女子は何人もいるかな?」


それがどうした。


「それとこれとは別問題ですよね」


一言でピシャリと言い放ち、再び教科書に向き直った。


「……翔、お前さ」


一さんの目が、面白い玩具を見つけたように笑っている。


「それじゃ中二どころか小学生並の感情表現だろ……」

笑いを含んだ一さんの言葉に、秦野君が続ける。


「翔は今まで自分から告った事、ないですからね」

「うるせーよ天、お前黙ってろよ」



お前が煩い。どっか行け。