とっ…取り敢えずは目の前の問題に集中しようか……。



辞書を引きつつ訳しながら例文をチェックし、四苦ハ苦して構文に……。


「なぁ、これどういう意味?」

「これなんて読むんだよ」

「つーか文章長過ぎねぇ?」


……横から私に対して聞かされる雑音も、最初のうちは無視していたけど、段々苛々がピークに達した私は、とうとう怒髪が天を衝いてしまった。


「………赤間君、一人でやりましょう。私、暗記をしたいので、はっきり言って煩いです」


鼻息も荒くそこまで言い切ると、再び自分の教科書やノートに視線を戻した。


やっと大人しくなったと思えば、今度は私のノートを見てそれを自分のノートに書き写し、重要な例文をカンニングしていた。


「………赤間君?いい加減にして下さいね……」


参考書見れば重要な項目ぐらい書いてあんだろ、ボケェ!お前の目は節穴か!?



「翔にそういう事言う女子、初めて見たよ」


冷静な言葉は一さんの隣、秦野君が発したものだった。