「でも俺はこの来生さん、良いと思うけど?」

リア充(お前なんか名前で呼ばねーよ)の横から助け船を出してくれたのは、眼鏡男子の秦野君だった。



「……赤間君が私の事、嫌いだっていうのは良く分かりました。ドンマイな顔ですから、もう視界に入れないで下さいね」

ギリィと歯軋り混じりにリア充に向かってそう言うと、私は皆の横をすり抜けて朝食のトレイを取った。




マジでムカついた。やっぱリア充なんか消えてなくなっちまえ。






「おはようございます。朝から何の騒ぎ?」


そこへやって来たのは、お兄さん的な一さん。


「……あれ?紗凪ちゃん……?」

不思議そうな表情で私を見ている一さん。


髪型と色を変えただけなのに、そんなに違和感あるかな?


「紗凪ちゃんだよ。紫野にやって貰ったんだと」

一さんとは擦れ違いに、食堂から出ようとした宏樹さんが説明した。



「……そっか。でも紗凪ちゃんは、顔を隠さないで笑ってる方が良いと思うな。やっぱり女の子は笑ってないと」


優しく私を見つめる一さんの目には、私を安心させる温かさがある。私は、一さんのその目、嫌いじゃない。


「ありがとうございます」

一さんには感謝を込めて、ぎこちなく微笑みを返した。