「そうして貰えるとこっちとしても助かる。……けどお前……」

「はい、何でしょう?」

「何か胡散臭ぇな」

「どういう意味でしょう?」

「……紗凪ちゃんさ、さっき何か本読んでなかった?」


紫野さんのその質問には背中から冷や汗が滴り落ちた。


「いえ、何も?」

「蘭華のお嬢様はこんな所に来ても勉強すんのか?さーすが」

白い目で私を見つめる充さんには、『親愛』とか『信頼』なんてものが無いことは一目で分かった。

「……紗凪ちゃん、これ……。『江戸♂×甘♂joy!』って……」
「見るんじゃねぇぇ!!」

急いで紫野さんからコレクションを引ったくった。おいこら誰が勝手に見ろっつったよ、あぁん!?

「……紗凪ちゃんさ、」

「私もう帰らないと。たった今、勉強が中断されてしまいましたもの」

「BL の?」

「なんつった、ねぇ今なんつった?」

「……もしかして紗凪ちゃん、腐女子……ってヤツ?」

「……え?今聞いてませんでした。何か仰いましたか?」

「……見たい?僕と充がキスするとこ」

「それは是非!!!!」


………。


「腐ってるな」

「そうだね、ラフレシア並みの腐臭かな」




あ。やっちまった。