「じゃーね!夜、コレクションの感想メール入れるから!」



元気に手を振る奈乃とは、施設の前のバス停で別れた。



私は電車で帰るけど、電車が来るまではまだ少し時間があったから、施設の奥にあるカフェで暇を潰す事にした。


そのカフェは照明が薄暗くて席の数もそんなに無いから、安心してコレクションが読めるのだ。



店に入り、キャラメルマキアートとシナモンロールを注文すると、シナモンのいい香りが辺りに漂う。


ラッキーな事に店内には他に客はいない様子だったから、私はパーテーションで隔てられた一番奥の、見えない場所を選んで座った。




ガサゴソと紙袋を漁り、さっき買ったコレクションの一冊を開封して読み始める。



ざくざく読み進めるうちに、段々内容が濡れ場へと突入して……。





「駄目だよ、ここ、人目がある……」


そうそう、そんな感じ。


って、えっ!?




何今のリアルな男の人の声!?




「いいだろ。今日は一回もヤってねぇし」



………ちょっと待てぇい!!!!

こんなシーン、この本のどこにもそんなの描いてないぞ!?つー事は私の妄想じゃないって事!?


「や…駄目だって……」

「……大人しくしろよ」


リアルガチホモが店内にいる!?


慌てて立ち上がろうとして、迂闊にもキャラメルマキアートの紙コップを床に落としてしまった。しかも手にかかったし地味に熱い!