現在高校一年生の私、来生紗凪(きすぎ さな)。
小中校、一貫してエスカレーター式の女子校にしか通ったことのない、世間知らずなただの《小娘》でしかない私に、手を差し伸べてくれるような親戚はいなかった。
けれど父母は私に少しばかりの財産を遺してくれていたから、それで今後の生計は成り立つ筈。どうにかこうにか生きていくだけの、細やかな収入は確保出来るのだ。
私は今まで父母と一緒に住んだ家を出て、その[財産]へと引っ越す事を決めた。
親子で仲良く暮らしたこの家に、一人で住むのは寂しすぎる。
何より、在りし日の父母を思い出しては眠れない日が続いていた。
見かねた友人が、「環境を変えてはどうか?」と助言してくれたので、私はそれに従う事にしたのだった。
父母の四十九日が終わり、一週間後からは新学期が始まろうとしている今日、この日。私は悲しむ間も無く、新しい住み処へと移る。
自分の荷物は引っ越し業者に依頼して、既に新居へと運んである筈だ。
新しい、我が家。
築20年、平屋建て男子寮「一風寮」へ。
小中校、一貫してエスカレーター式の女子校にしか通ったことのない、世間知らずなただの《小娘》でしかない私に、手を差し伸べてくれるような親戚はいなかった。
けれど父母は私に少しばかりの財産を遺してくれていたから、それで今後の生計は成り立つ筈。どうにかこうにか生きていくだけの、細やかな収入は確保出来るのだ。
私は今まで父母と一緒に住んだ家を出て、その[財産]へと引っ越す事を決めた。
親子で仲良く暮らしたこの家に、一人で住むのは寂しすぎる。
何より、在りし日の父母を思い出しては眠れない日が続いていた。
見かねた友人が、「環境を変えてはどうか?」と助言してくれたので、私はそれに従う事にしたのだった。
父母の四十九日が終わり、一週間後からは新学期が始まろうとしている今日、この日。私は悲しむ間も無く、新しい住み処へと移る。
自分の荷物は引っ越し業者に依頼して、既に新居へと運んである筈だ。
新しい、我が家。
築20年、平屋建て男子寮「一風寮」へ。