「いただきます」


こんなに温かい朝食を頂くのは、実に3ヶ月振りぐらいかな。

誰かが作ってくれたご飯を食べれるのが、とても嬉しい。

自分一人の分だけを作って一人で食べるのは、味気無くて切なかった。

況してこうして賑やかに大人数で食べるのが、楽しくて仕方がない。


今、私の前のテーブルについているのは宏樹さんと遥斗さん、それにチャラ男だ。


「ちょっと醤油取って」

「目玉焼きに醤油とか有り得ねぇ。ソースかけろや」

「うっせ。黙れチャラ男。いや卑猥顔」

「はぁ!?俺のどこが卑猥顔!?つーかそういうお前の方が遊んでんだろ!」

「お前ら煩い。紗凪ちゃんが引いてるから朝から無駄にテンション上げんな」


いえいえ、宏樹さん。目の前で、イケメンのこんなに美味しい会話が弾んでいるんですもの。


たとえ遥斗さんが目玉焼きに醤油をかけようがチャラ男がソースをかけようが、それが私には美味しいおかずにしかなりません。



あ、この場合のおかずはあっちの意味でのおかずでは無い事は自分の名誉の為に付け加えておく。



「おはようございます」

ガラリと扉を開けて、一さんが礼儀正しく挨拶をしながら入ってきた。朝から隙がないぞっ、一さん!




「紗凪ちゃん、おはよう」

「おはようございます」

会釈する振りをして一さんを観察する。


うーん、朝の日差しがよく似合う、今日も爽やか好青年だ!

一さんの笑顔は、これで白飯三杯ぐらいいけそうなご馳走だ。