「赤間翔(あかま しょう)。西南高の2年生ッス」


翔と名乗った男の子は、ブロンドと赤味がかったグラデーションのカラーに、長めに残したサラサラの前髪がとてもよく映えて彼の顔を際立たせている。



あれ?

この赤間君、私とタメだけど……。どっかで見た事あるような……。


「翔君はね、バスケ部だから朝練や合宿があるんだよ。だから食事はたまにギリギリだったりするよね」

優子さんが労りの眼差しをその子に向けた。

「それに、可愛い彼女にも付き合わなきゃなんねーしな!門限もギリギリだろ!」

と、チャラ男が余計な一言を言って、私の夢をぶち壊した。




もうお前黙ってろ。



「秦野天(はたの そら)。翔と同じ高校の2年生。但し文学部。宜しく」


赤間君の前に座る、黒髪のインテリ君が挨拶した。


うわ!眼鏡男子だ!!しかもこの子も細面で、線が細くて格好いい。


さっきのチャラ男の情報が無ければ、翔×天でカップリングが出来るのに。


なんだ、赤間君、彼女いるんだ。




なんだかすごく残念だ。(この場合の残念は、私が恋愛対象として見られたいからの残念では勿論無いのが残念だ)




「はい、以上がこの寮の皆。お互いに仲良くしてね」


はい、と私が優子さんに頷くと、そこかしこから「うぃーす」と、気の無い返事が返ってきた。




環境を変えるように助言してくれた、親友の奈乃に感謝しながらその夜は眠りについた。