キッと赤間君を睨むと、赤間君が「スピードは出さなくてもいいから、ゆっくり真っ直ぐ狙ってみ?」とか言ってレーンから下りた。



騙されたかと思って、まずは1投を投げてみる。


うえ!? ストライクだ!! 何で何で!?



「やっぱりな。紗凪、俺や宏樹さんのスピードに影響されて、滅茶苦茶速い球投げてただろ?だからコントロールが疎かになって、上手くピンに当たらなかったんだ。けど、重い球だとゆっくりしか投げられないから、コントロールも上手くいくってわけ」


ハイタッチしながら、赤間君がそうアドバイスをしてくれた。


ウザい奴にも取り柄ってあるんだな。


笑顔の下にそんなどす黒い感想を隠して、宏樹さんにも握手で応えた。





宏樹さんや赤間君がハイスピードで投球しちゃうもんだから、私達のレーンは瞬く間にゲームが終わってしまった。



前半はトホーだった私のスコアも、赤間君がボールを替えてくれてからは、まぁ平均ぐらいに伸びてくれた。



そりゃ体育会系の宏樹さんや赤間君には到底届かないけどさ。