「理亜!どうしたの…」


熱いのは、おでこだけではなかった。

綿のロンパース越しの身体に触っても分かるほど、理亜は明らかにおかしかった。


横抱きにして、熱を計る。


39.3度あった。


「嘘…39度って…」

真彩は、呆然と体温計を見つめる。


午後、計った時は37度台だったのに。
急激に体温が上がってしまったらしい。


こんなに理亜が熱を出したのは初めてだ。真彩の腕の中で理亜はなんだかぐったりしてきた。


朝から、母乳もジュースも少ししか飲んでないから、ほとんど栄養を摂っていない。

それに、2度も吐いた。


こんな状態で、小児科から貰った薬などもう飲めるわけがなかった。


このままじゃ、理亜が死んじゃう…


真彩は口の中で呟く。


10分も経っていないけれど、もう1度、熱を計って見る。


体温計がピピっとなり、表示された
『39.7』という数字を見た瞬間、真彩は眩暈を感じた。


(さっきよりも、また熱が上がっている…何分も経っていないのに…!)


理亜を抱く手がわずかに震えてきた。

もうとっくに掛かりつけの小児科は閉まっている。


(そうだ…市の広報に夜間救急の場所が載ってた…そこで診てもらおう。)