朝からほとんど何も口にしていないのに、こんなに吐くなんて…


「こんな時、どうしたらいいんだっけ…?」


真彩は、頭を掻き毟った。


とりあえず育児書でなんの病気か調べなくては…と思った。


育児書は寝室にあった。


抱っこしていた理亜をベビーラックに戻そうとする。


平らに寝かした途端、理亜は火が付いたように泣く。


「あ〜ん、理亜〜どうしたらいいの…」


仕方なく、もう一度抱き上げた時、ゴボッ…という小さな音を立てて、理亜が再び白い液体を嘔吐した。


「うわあ!」


咄嗟に、真彩は抱き上げたままの理亜の身体を自分から離した。


理亜の口から出た液体は、べちゃっと音を立てて、オークル色のフローリングの床に落下した。


汚物の付いたTシャツと床から、なんとも言えない饐えた嫌な臭いが漂ってきて、真彩は一瞬、吐きそうになってしまった。


(こんなんじゃ、本を取りに行くことすら出来ないよ…)


真彩の身体に汗が滲んできた。


(だめ。焦っちゃ…落ち着かなくちゃ。私しかいないんだから…)


ふと、理亜の頬っぺたが昼よりも赤いことに気がつく。


熱が出てる、と思い、理亜の額に触れるといつもより明らかに熱い。