司からのメールの内容は、仕事が終わった、今夜もスーパーで惣菜を買って帰る、というような呑気な内容だった。


真彩はパスタを食べるのも忘れて、司に理亜の具合が悪いこと、夫が出張で札幌へ行き今夜は不在なので不安で仕方ない、とメールを打った。


送信ボタンを押した途端、ベビーラックの理亜が泣き出した。


真彩はスマホを放り出し、理亜の元に走り寄る。


「理亜っち、よく寝んねしてたねえ。
喉渇いた?おっぱい飲もっか?」


ラックの安全ベルトを外し、ピンク色のロンパースを着た柔らかな身体を抱き上げると、理亜はふっと泣き止んだ。


良かった、元気そうだ…


そう思った瞬間。


真彩の身体に、生温かい何かが触れた。


えっ!と思い、理亜を身体から少し離した時、真彩は「イヤッ!」と小さな悲鳴をあげた。


その温かいものは、理亜の吐瀉物で、真彩のTシャツの左胸のあたりでに白く粘度を持ってへばりついていた。


こんなにたくさん、理亜が吐いてしまうのなんて今までなかった。


「どうしたの、理亜…」


急いでふきんで汚れを拭き取った後、ソファに移動し、真彩は理亜を向かい合うようにして、膝に座らせる。