沖縄・宮古島から進学の為に上京してからずっと一人暮らしの司は、無職でいることなど許されない。


すぐに宅配便のドライバーのアルバイトを始めたけれど、真彩は価値観の違いを強く感じ始めた。


司も真彩との間に出来た溝を
埋めようとはしなかった。


逢う回数が少しずつ減り、
いつしか連絡が途絶えた。


3年も付き合ったのに、さよならも言わない別れだった。




真彩と司が恋人同士だった頃、優美子も交えて何度か飲みにいった。


真彩と司が別れてからは、優美子も司と音信不通だったのだが、偶然、街でばったり出逢い、司が真彩の消息を訪ねてきたのだという。


司は優美子から真彩が出産したと聞いて
[おめでとう]メールをくれた。


それがきっかけで、毎日メールを交わすようになった。



再就職先の飲料水メーカーで営業をしている司は、毎日、午後5時から6時の間にメールをくれた。


ちょうど仕事が一段落する時刻だという。



育児に追われ、外出もままならない真彩にとって、司からのメールは励みにも癒しにもなっていた。