………それなのに。

月が変わるごとに司との恋は、少しずつ、翳りの色が濃くなっていった。



そして、ある日。

事件が起こった。


免許取り立ての貴文が「ミラ、貸して」と友人3人とドライブしに行き、自損事故を起こし、大破させてしまった。


奇跡的に貴文達は擦り傷程度では済んだが、真彩と司のデートの欠かせない足となっていた赤い軽自動車は廃車の憂き目にあった……



今度は、司が話す番だ。


ハンドルを操りながら、「最初は、鎌も猫車もうまく使えなかった」という宮古島での生活を聞かせてくれた。


「1月から先月まで、さとうきびの収穫でさ。
朝は7時に起きて、畑にいって、耕運機乗ってたよ。

フルーツパークでは、今、島バナナとパパイヤが生ってる。
温室もあって、何羽かインコを放し飼いにしてるんだ。

宮古島にはハブがいないんだ。だから安心して歩けるさあ……」


司が日焼けをした理由が分かった。

伸び伸びとした様子は、真彩にも伝染し、心を浮き立たせる。