「私のことは、気にしないで。
久しぶりに育児から解放されたんだから、羽根伸ばしなよ〜
こんな偶然滅多にないし。

でも私は、カズくんと夕飯、一緒に食べる約束しちゃってるの。
だから、エステが終わったら、一足お先に帰りますね」


優美子は物わかりの良いデンファレのようにクスクスと笑いながら言った。




エステが終わった後、優美子はシャトルバスに乗って駅に向かった。


本当は自分も乗るはずだったバスに手を振って見送った後、真彩は、ホテルの駐車場に向かった。


札幌ならもう陽が暮れ始める時間なのに、こちらはまだまだ明るい。


風がさわさわと音を立てる。

ホテルの敷地内のあちこちに椰子の木が植えられているせいで、司の住む南国宮古島にいるように感じられた。



司は、もう来ていた。

白い軽自動車の運転席から、短くクラクションを鳴らした。