「…あ、ごめん。
これからスカイラウンジでブッフェランチなの。
もうすぐ予約の時間だから、そろそろ行かなくちゃ」
会ったばかりで、サヨナラするのはとても残念だけれど、遅刻しては優美子に申し訳ない。
名残惜しいのは司も同じだった。
「…ランチブッフェか。いいね。
なら、夜、ラーメンでも食いに行かないか?
社長、異常に寝るの早くて、飯食ったら、8時半とかに寝ちまうんだ。
退屈だから、渚が帰ってくるまでレンタカーで街の方まで行ってみようと思ってたんだ。
突然過ぎて、都合つかないかな?あ、ラーメンでなくても、なんでもいいよ」
司にしては、熱心な誘い方だった。
理亜なら、光俊とおばあちゃんが見てくれている。
たまの友人との外出だから、日付けの変わらないうちに帰れば許してもらえるだろう。
いいよ、付き合うよ、と快く言ってあげたかった。
だけれど、優美子は早く帰りたがるかもしれない。
「ああ、真彩!」
何も言っていないのに、真彩の表情だけで悟ったようだ。
優美子は、真彩の肩にそっと手を置いた。