「宮古島のさ、北に出るんだよね。
すごく潮が引いてさ、サンゴ礁が海の上に現れるんだ。
ちょっとした島みたいにね。

年に何度かあるけど、旧暦の雛祭り当たりが特にすごいって言われてる。
今で言うと4月の上旬くらいかな。
イベントも開かれるんだ。
「幻の大陸」って呼ばれてる。

…ちょっと不思議な光景だよ。
海の中にあるものが、陸に上がっちゃうんだから」



「へえ〜…すごそう。
でも、なんかちょっとうまく想像できないかも…」


暗いから、司の顔なんか見えないのに、仰向けになった真彩は声の方に顔だけ動かして言った。


「そうだね…イメージ出来ないなら、いつか見にくるといいよ。
俺、案内するよ」


司がどんな顔をしてそう言ったのかは、暗くてわからなかった。