真彩の出産のお祝いに、クリスチャンディオールのベビー服を贈ってくれた。
柔らかな綾織りの生地で、赤ちゃんが男でも女でも着れるレモンイエローのすごくオシャレなオールインワン。
いつでも優美子は、贈り物のセンスがいい。
子供にはもったいないような凝った童話の仕掛け絵本を贈ってくれたのは、真彩より二つ歳下の会社の後輩だ。
高校時代の親友・仲野美香が贈ってくれたベビー服も、高価な子供ブランドのものだった。
真彩の友人・知人は30歳過ぎでも独身が多かった。
彼女達は仕事を持ち、実家暮しだから、羽振りがいい。
週末はオシャレな洋服を着て、流行のレストランを食べ歩きする。
連休があれば、女同士で、温泉旅行に行く。
真彩も結婚前はそうだった。
今でも同い年の優美子とは、姉妹のように仲がいい。
焼きもち焼きの光俊も優美子と逢うのは、あっさり許してくれる。
さっぱりしていて、気遣いのある彼女の性格を光俊も知っているからだ。
優美子は昔、一緒に参加した合コンで、
『私、真彩とだったら寝れる!』
と、酔った勢いで言い放ち、男たちをドン引きさせた前科があった。
あともう一人。
今一番ひんぱんにメールをやり取りをしている人物がいた。
それは23歳の時から3年間、付き合った二歳年下の元カレ、砂川司だった。