司の言葉に真彩は素直に感心する。

日々、忙しいとどうしても親の都合を優先してしまう。


司の娘に掛ける愛情が、とても細やかであると感じた。


「ついでだから、俺、理亜も風呂にいれてやるよ。理亜が終わったら、呼ぶから迎えにきてよ」


「えっ…本当?」


真彩は小児救急で、愚図る理亜を抱く、司の慣れた手付きを思い出す。

司なら任せても大丈夫だ。


「うわあ、やったあ!渚、理亜ちゃんとお風呂入りたあい!渚が洗ってあげる!」


父親の言葉に渚はまた、飛び跳ねて喜んだ。


あちこち歩き回り、とても疲れていた真彩は、司の好意に甘えることにした。


司が子供達と風呂に入っている間、リビングに1人残った真彩は、ソファに腰掛け家の中を見回す。


広々としたリビングに置かれた
ダークブラウンの三人掛けの布張りのソファは、とても座り心地が良かった。


食器棚とお揃いのカントリー調の4人掛け食卓テーブルセット。

家具は木目を生かしたナチュラルカラーで統一してある。


50型テレビの前には幼児向けのアニメDVDが3枚ほど積まれていた。