真彩は手を伸ばし、手のひらにちょうどよく収まるサイズのそれに噛り付いた。


「母乳あげてると、カロリー消耗ハンパないから、いくら食べても太らないらしいね。

好きなら、お土産にあげるから持って帰りなよ。
渚と二人じゃ、食い切れないから、会社にでも持って行こうかと思ったけど、真彩にやるよ」


そう言ってカップの中味を一口啜り、立ち上がった司は、カーテンレールにぶら下げた洗濯ハンガーから次々と乾いた洗濯物を外す。

外したそれを、そのままライトブラウンのフローリングの床に落としていた。


「渚、そろそろ、風呂に入ろうか?
パジャマと下着、持っておいで」


ベージュのラグの上にお座りする理亜とにらめっこするみたいに向かい合っている渚に、司が声を掛けた。


「はあい、パパ!」


渚はよいお返事をして、立ち上がった。


「時間が合えば、渚と一緒に風呂に入るようにしてるんだ。
普段の日は、帰ったら飯食って寝るだけみたいな感じで、ゆっくり話せないだろ。
小さい頃って、やっぱスキンシップって大事だと思うんだ」


「へえー。司、偉いね…」