レジの順番待ちの時、司に見られないようにさりげなくスマホの着信をチェックした。
夫・光俊からはなんの連絡もなかった。
もう帰宅しているはずの時刻だ。
ーー夕飯はどうしたんだろう……
光俊の方も臨戦体制なのだろうか。
料理をしない光俊は、暗いままのキッチンに怒り、弁当を買いに行ったかもしれない。
レジの順番が回ってきた。
「4830円になります。ポイントカードはお持ちですか?」
「いいえ」
……それならそれでいい。
どうにでもなれ……
支払いをしながら、真彩は捨て鉢な気持ちになった。
司の家は思いの外、立派な煉瓦調の二階建て一軒家だった。
山を切り崩して造成されたらしい高台にある新興住宅地で、廻りも同じく余裕のある作りの家が建ち並ぶ。