「浮気するしクソだしモテるし、勝てない」
「……好きになりたくない、やつか…」
「でもきっと心の中では好きなんです」
「へ…?」
「だから、落とせるよ?あんた」
「ま、じかよ…」
「アンタが本気なら…」
「本気に決まってんだろ」
そんな言葉だって、いつかは変わってしまうかも知れない。
……そう疑ってしまう。
あたしって本当に…やなやつに近づいてくよ…。
「お姉ちゃんっ!」
「ん…」
「ひな」
「…サツキ…?」
「落ちろよ…」
「ふふっ…サツキが落ちた?あたしに」
「っ…きれいなんだよお前は…」
お姉ちゃんは優しく、切なげにサツキさんに微笑んだ。
……きれい、だなぁ…。
やっぱりお姉ちゃんのように、なりたかった。
そしたらきっと皐も居てくれた。
他の子なんて見ないでくれたかもしれないのに…。
どうしてお姉ちゃんのようになれないの…っ?
「ひまり?どうした?」
「…秦…」
「ん?」
「………」
「…ひまりは、そのままでいんだよ」
「へ…?」
「俺は、そのままのひまりがいいけど」
「秦…っ…」
「だからさ、無理に変わろうとすんなよ?」
「うん…!」
秦の言葉はいつもあたしを救ってくれる。
やっぱり、秦はずるい。
あたしが欲しい言葉をくれてしまう。
………どうして秦には伝わるんだろう。
皐には伝わらないのに。
あたしに興味ないからに決まってるかぁ…。
――傷付くな、あたし。
「涙溜めてんじゃねぇよ」
「うるさいっ…秦が、ずるいんだ…!」
「ずるくていいよ?ひまりも十分ずるいけど」
「あたしは…ずるくない…」
「そんな目で見られても説得力ないよ?」
そういうとあたしの瞼にチュッとキスを落とす。
「なななっ…!?」
「カワイ。照れてんの?」
「て、照れるよっ…!」
「かーわい。」
「からかわないで…!」
「あの〜」
「「なに!?」」
「いや、ひなどうすんの?」
「ね、寝てる…」
「どうすんの?」
「秦、お姉ちゃん部屋に運んで?」
「おう。…ちょっといいですか?」
「俺が、運ぶ」
「え?いや、秦の方が…」
「ひなに触れてほしくない。俺以外の野郎が」
「…独占欲?」
「ったりめーだろ」
「カッコいい〜」
「バカにしてんだろ」
「まぁいいや。ひまり、部屋に案内してやんな?」
「うん。…こっちです」
筋肉なんて無さそうなのにお姉ちゃんをお姫様抱っこする。
…ほ、細マッチョ?
やっぱりサツキさんのが身長高いし、男の人だもんね。
当たり前かぁー…。