「秦…っ…苦しいよ、助けて…!」
「ひまり…っ」
なんでいつも側にいてくれないの。
なんで他の子なの?
あたしが嫌いなら優しくしないで。
“別れよう”とか“飽きた”とか言ってよ。
酷い言葉で罵ってよ。
……皐を嫌いにさせてよ。
皐なんか、嫌いになりたいよ。
「…屋上行かねぇ?空、見よう」
「……秦?」
「ココアも作ってやっけど、空でも見て気分転換な♪」
「……っ」
――ドキン…ッ…
無邪気に笑う秦に、胸が高鳴る。
何度もこの笑顔にぬくもりに救われた。
あたしはなんで秦が初恋じゃないんだろうね。
なんで秦じゃなくて皐を好きになったんだろうね。
ずっと側にいてくれたのは秦なのに。
……今、気づいても遅いのに。
――ギィ…
「音が錆びれてるな」
「いい天気…」
「快晴、だからな」
「………」
「ひまり」
「……うん?」
「助けてやるから。ひまりをちゃんと」
「……っっ」
「だから、待ってろ?でも泣きたいときとか俺んとこ来い」
「…うんっ」
「我慢なんかしなくていいから」
「…う、ん…」
「ひまりは笑顔じゃなきゃな」
「……し…ん…」
「昼寝でもする?ま、朝だけど」
「…授業、今日は出たくないや」
「んじゃ、1時間だけは顔だしてデート行く?」
「へっ!?」
デ、デ、デート//!?
単語だけで恥ずかしいよ。
…最後に皐とデートしたのいつだっけ?
はじめの頃はよく行ってたのに。
いつから…皐はあたしを嫌いになったんだろう。
「宇美だって、心配するしさ?」
「うんっ…」
秦は、優しすぎる。
…秦。
って呼びたくなる。