テーブルの上に腐った果物がある
「食べる?」
きみは言った
「食べないよ」
ぼくは言った
食べるわけがないよ
そう付け加わえて
「そう、食べないの」
きみは言った
「きみは食べるのかい?」
尋ねた
「もちろん……」
しばしの沈黙
「食べないわ」
だって腐っているもの
そう付け加えた
ぼくはすこし考えた
(この人は自分が食べたくないものをぼくに薦めたということか……)
「きみはぼくが嫌いなのかい?」
「どうして?」
「だってきみはぼくに腐った果物を薦めたじゃないか」
「薦めてなんかいないわ、食べる? って聞いただけよ」
「ならいい」
しばし沈黙
「あなたのことは嫌いだけどね」
きみは最後にそう付け加わえた
随分、長い沈黙のあと
「ねぇ」
ぼくは言った
「なに?」
きみは聞いた
「さっきからぼくときみの話をしててさ 腐った果物のことをほっぽりっぱなしだと思うんだ」
「言われてみればそうね」
「なんか可哀相じゃないか?」
「確かに、わたしが腐った果物なら自分が腐っていてなおかつ誰からも相手にされないなんて絶対、耐えられないわね」
ぼくは頷いた
「じゃあ腐った果物をどうするか決めよう」
「そうね そうしましょう」
二人はしばらく考えた
そして答えが出た
「わたしは捨てるのがいいと思うわ」
「ぼくも捨てるのがいいと思うよ」
そして、
二人は、
腐った果物を捨てた
透明な
獣に
崖へと追い込まれ
わたしは
足を踏み外し
そこから転落した
それはきみから見ればとても奇妙な光景だった
わたしは
自殺したことになった
けど
それは
他殺だったんだ
人差し指をピストルに見立て
お前は自分の頭を吹き飛ばす真似をした
それはとてもじゃないけど
見れたもんじゃなかった
わたしは本物のピストルを突きつけて
弾丸を
その脳にぶち込んでやりたい衝動にかられた、そうした
「あわっ……ちょっ……まっ……」
が
最後の言葉だった
それはちょっと価値があった
透明な花を摘んでいる少女
彼女は別に頭がおかしいわけではない
感触はある
少なくとも
彼女には
おれにもきみにも
触れることはできないが……
無数の刃が降り注ぐ
空へ
風船を放した
無傷でいようなんて思わないけど
破裂しなきゃいんだろ?
ぼくは そらを とべる なんて
しらなかった です
ぼくは くもを さわろうと おもいました
けど さわれなくて ざんねん でした
そらを とべる のに
くもは さわれない のかぁ
ぼくは ねむい ので
そらを とんだ まま
ねました ぐうぐう
そして あさに なるまで
ゆめを みました
それは
そらを とぶ
ゆめ でした
ぼくは
ゆめの なかでも
ぼくは そらを とべる なんて
と
おもって いました
なんだか
へんで
おかしかった です
あさ おきたら
やっぱり
そらを とんでいました
けど
くもは さわれませんでした
どしゃ降りの中
傘もささずに
踊り 笑っていた
通り過ぎる人たちの
ばかじゃねーのという視線にも動きはぎこちなくならない
わたしは
あなたと友達になりたかった
「わたしと友達になろうよ」
ぶん殴られた
ただの気違いだった
きょうは
とっても青い空で
雲一つない
お天気です
って
ははっ
全然おもしろくねー文章でやんの
くだらねえ
いくぞ外
「うおぉぉぉー――――!」
って
自転車をこぐ
超ハイテンション×100倍のウルトラで
大きな声で小学生のときに習った歌をうたう
「ギャーギャーギャー」
通り過ぎてく車の中身が
何か奇妙なものでも見るようにこっちを見ている ふざけやがって
赤信号で
そいつぴったり止まりやがったから
追い抜きざま
偽ダイナマイトに火ぃつけて
開いてんだか開いてねぇんだかわからねぇ中途半端な窓から投げ込んでやった
あー
きょうは
とっても青い空で
雲一つない
お天気です
って
はは
ほんとくだらねぇ文章でやんの