無意識に
指先が震えても
加速する
もしも誰かがそれで傷ついて
泣き出しても
「風に 髪が揺れたから……」
とでも
答えればいいさ
おれは
進む
飛び立つ
鳩をつかんで喰っても
小学校の校庭の
ジャングルジムに絡まって
出られなくなった神様の親友を助けてやった
そしたら
「お礼に一つだけ 願いを叶えてあげるよ」
と言うので
ぼくは
とてものどが渇いていたので
「ここの蛇口をひねったら オレンジジュースが出るようにしてください」
と言った
蛇口を上に向け
ぼくはごくごくと飲んだ
オレンジジュースだった
驚いた
こんなこともあるんだなー
と思った
隣りのをひねるとウーロン茶が出てきた
「追加サービスだよ」
ぼくが振り返ると
神様の親友はもうそこには居なかった
時は流れ
ぼくはなんであのときあんなことを頼んだのだろうと
ひどく後悔していた
もっと
なにか
有意義なことがあったのではないか
そして
ぼくは あの日
神様の親友が絡まっていたジャングルジムへ
いまでもたまに顔を出した
けれど
もう二度と
神様の親友はそこで絡まってはいないのだった
嘘だったようにも思える
けど
あの日の 蛇口をひねってみると
確かにオレンジジュースは流れるのだった
隣りのウーロン茶も
ぼくは
追加サービスがあって良かったな……
と思った
ぼくは大人の味覚になっていたから
テーブルの上に腐った果物がある
「食べる?」
きみは言った
「食べないよ」
ぼくは言った
食べるわけがないよ
そう付け加わえて
「そう、食べないの」
きみは言った
「きみは食べるのかい?」
尋ねた
「もちろん……」
しばしの沈黙
「食べないわ」
だって腐っているもの
そう付け加えた
ぼくはすこし考えた
(この人は自分が食べたくないものをぼくに薦めたということか……)
「きみはぼくが嫌いなのかい?」
「どうして?」
「だってきみはぼくに腐った果物を薦めたじゃないか」
「薦めてなんかいないわ、食べる? って聞いただけよ」
「ならいい」
しばし沈黙
「あなたのことは嫌いだけどね」
きみは最後にそう付け加わえた
随分、長い沈黙のあと
「ねぇ」
ぼくは言った
「なに?」
きみは聞いた
「さっきからぼくときみの話をしててさ 腐った果物のことをほっぽりっぱなしだと思うんだ」
「言われてみればそうね」
「なんか可哀相じゃないか?」
「確かに、わたしが腐った果物なら自分が腐っていてなおかつ誰からも相手にされないなんて絶対、耐えられないわね」
ぼくは頷いた
「じゃあ腐った果物をどうするか決めよう」
「そうね そうしましょう」
二人はしばらく考えた
そして答えが出た
「わたしは捨てるのがいいと思うわ」
「ぼくも捨てるのがいいと思うよ」
そして、
二人は、
腐った果物を捨てた
透明な
獣に
崖へと追い込まれ
わたしは
足を踏み外し
そこから転落した
それはきみから見ればとても奇妙な光景だった
わたしは
自殺したことになった
けど
それは
他殺だったんだ
人差し指をピストルに見立て
お前は自分の頭を吹き飛ばす真似をした
それはとてもじゃないけど
見れたもんじゃなかった
わたしは本物のピストルを突きつけて
弾丸を
その脳にぶち込んでやりたい衝動にかられた、そうした
「あわっ……ちょっ……まっ……」
が
最後の言葉だった
それはちょっと価値があった
透明な花を摘んでいる少女
彼女は別に頭がおかしいわけではない
感触はある
少なくとも
彼女には
おれにもきみにも
触れることはできないが……
無数の刃が降り注ぐ
空へ
風船を放した
無傷でいようなんて思わないけど
破裂しなきゃいんだろ?
ぼくは そらを とべる なんて
しらなかった です
ぼくは くもを さわろうと おもいました
けど さわれなくて ざんねん でした
そらを とべる のに
くもは さわれない のかぁ
ぼくは ねむい ので
そらを とんだ まま
ねました ぐうぐう
そして あさに なるまで
ゆめを みました
それは
そらを とぶ
ゆめ でした
ぼくは
ゆめの なかでも
ぼくは そらを とべる なんて
と
おもって いました
なんだか
へんで
おかしかった です
あさ おきたら
やっぱり
そらを とんでいました
けど
くもは さわれませんでした