「……帰る。」





いきなり真顔に変わった愛姫はそういって俺達に背を向けて歩き出した。






今にも闇に葬られそうな小さな背中をみて自分の力の無さに呆れてなにも言えなかった 。






龍馬side end
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雷が鳴り響き滝のような雨が降る。



分厚い雲が空一面に広がり



全く光を通してない。






たしかあの日はそんな日だった。




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夜に映える金の薔薇の刺繍



月に照らされる金の髪の毛。



光を写さない赤色の瞳。





私は…




“孤独”











グハッ…


ゲホッゲホッ…



「なんだ、もう終わり?」



目の前に転がる50人くらいの男たち。





「まだやれるだろ。立てよ…」



トップらしき人の髪の毛を掴み引っ張る。











ゲホッ…ゲホッ…


「そっちからケンカ吹っ掛けてきたんだりろ、弱いくせにケンカなんかやるなよ。」






殴る。




これ以上やったら相手が死ぬかもしれない。



わかってるのに止まらない。







「ふざけんなよ!!あぁ?」










自分の感情がコントロールできない。





ウッ…ゲホッ…




手当たり次第に転がっている男たちを蹴る。








ダンッ!!











勢いよく扉が開く。








龍馬「……やめろ、愛姫…」




振り返るとそこにいたのは息を切らした風神の4人とその手下らしきやつら50人くらいだった。







「……なんだよ。」




雷馬「それ以上やったら貴女は犯罪者です。」




苦しそうに顔を歪めインテリ系男が言う。



「だからなに…?」



風馬「愛姫ちゃん、ダメだよ。」



小柄な男が言う。




神馬「また倒れる。」



目付きの悪い男。









「……!!」




突然感じた人の温もり。






龍馬「……お前は独りじゃない。俺らが仲間になる。恨んでてもいい。俺らが仲間になりてぇんだ。」




耳元で聞こえた震える声。





私の目から落ちたのは




大粒の涙だった。













わかってる。


恨み続けててもなにも変わらないのは…。




ただ恨み続けてないと自分がなんで生きてるのかわからなくなる気がした。







助けて…。






助けて…。