どれぐらい走っただろうか…



ドクンッ


(ケホッ…もぉこんな身体やだ…)




心臓の音が早くなる。


冬の冷たいコンクリートの上に倒れ込む。




(もぉ…死ぬかも…)



意識を手放しかけたその時…










「「「「愛姫!!」」」」





うっすらあけた目から見えたのは…




金の文字で書かれていた



ー風神ー




「……ふ、うじん………」











雷馬「意識を手放したらダメだ!!」


風馬「愛姫ちゃんしっかりして!!」


神馬「耐えろ!!」









龍馬「お前は生きる…」








私は…生きる?




風神…って…






こんなに優しいんだ。


















「わ……たし…生き……たい…」





初めてこんなに強く思った。







「死にたく………ない…よ…」





途切れ途切れの意識をなんとか保ちながら言葉を紡ぐ。




風神の人達が頷いている。







「生きなきゃ………」















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龍馬side




雷馬「春宮さん…愛姫さんは…」




春宮「……なんでもねぇよ…」




静寂に包まれた病室。




龍馬「あいつ、探すぞ!!全員に連絡しろ!!」




風馬、神馬、雷馬が急いで病室を飛び出していく。





春宮「龍馬…愛姫はお前達が思っているより壊れやすい………頼んだぞ…」




龍馬「……はい。」






あいつ、なに抱えてんだよ。



救ってやりてぇ…。






龍馬side end

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2週間の強制入院を経て無事退院。





迎えに来てくれる人はいないので荷物を自分で持ち病室を出る。





春宮「……愛姫…」



後ろで聞こえた春宮先生の声。


振り返らずに足を止める。











春宮「……風神は…今の風神は大丈夫だ。」







少し寂しそうなのにしっかりした声。





なにも言えなかった。





私の大切なものすべて奪った…。
















“アキラ”






私は貴方を許せない…。





でも…


独りは疲れたよ…。












春宮「生きるんだ、愛姫…」




春宮先生がボソッと呟いた言葉を聞こえないふりをして病院をあとにした。