「りゅーっ!!なんだこの資料の数は!!仕事せんかい仕事っ!!」
……うるせぇ…。
俺の目の前で叫ぶ女。
矢岳 歌音(ヤダケ カノン)
姉貴。
「……今日。1年なんだね…。」
姉貴が珍しく普通に話した。
「……あぁ。」
「見たかったな…愛姫ちゃん……。」
愛姫……っ…
思い出すだけで胸が苦しくなる。
「今日はもう上がりな…18時約束なんでしょ♪」
「すまんな、姉貴…。」
18時ちょうど。
マンションの最上階。
1年ぶりのこの部屋。
ガチャッ
懐かしい声。
神汰「遅いぞ、龍っ!!」
匠馬「待ちくたびれたぁー♪」
雷「仕事、お疲れ様です、龍。」
少し安心した。
変わらない仲間。
唯一変わったのは…
愛姫がいないこと。
「おぉ……。」
俺は短く答えてある場所に向かった。
今までずっと入れなかった場所。
愛姫の部屋。
開けるとそこに広がるのは…
……っ!!
床にばらまかれた薬。
きっと今まで1回もこの部屋に入れてくれなかったのはこのせい。
愛姫は…苦しんでいたんだ…。
雷「……愛姫さんが生きていた証ですね…。」
雷が苦しそうに呟いた。
……?
机に置かれたいくつかの封筒。
俺は薬を避けながらその封筒を手に取った。
これは…。
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匠馬side
龍から渡された封筒。
風馬へ
そう書かれた真っ白な封筒。
僕はゆっくり封を切った。
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風馬へ。
風馬、風馬は可愛いね。
女の私よりずっと可愛い。
私は風馬の綺麗な茶色い瞳とふわふわの髪の毛が大好きだったよ。
短い間だったけどありがとう。
風馬……いや、
匠馬。
いつまでも元気でね。
愛姫。
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