記憶が全部甦った。
私はその時には既に病院の先生になっていた春宮先生にお願いして…
普通に生きることを選んだ。
“嵐姫”
として。
龍馬は私が話している間ずっと私の手を握っていた。
流れても流れても止まらない涙。
「私ね…あと…2年はもたないの。」
風神の4人が一斉に顔をあげた。
雷馬「……2……年?」
「高校…卒業できない…。」
死ぬ。
ーーーーーーーーーー
龍馬 side
細くて…
今にも壊れそうな身体には俺達が思っていた何倍もの荷物を背負っていた。
俺が初めて愛姫を見たとき聞いた言葉。
『……死ぬのか?』
『いつかね…。』
まさかほんとに死ぬとは…。
俺の隣でただひたすら涙を流す愛姫。
なんでだよ…
なんで
なんであと2年なんだよ…
丁度、俺達に与えられた時間と一緒。
ふと、顔をあげた愛姫が言った。
「……でもね…私、治療やらなかったこと後悔してないよ…。」
泣き張らした紅の目で少し微笑んだ。
「人はいつか死ぬの。私はそれが少し早いだけ…。」
少し光を取り戻した瞳は…
儚いくらい綺麗だった。
龍馬 side end
ーーーーーーーーーー
ウッ………ゲホッゲホッ…
「……弱いものは私にケンカを売るな。」
相手「……な、なにものだ………」
「“風姫”。」
龍馬「……愛姫!!ったく、また一人でやったのか…。」
雷馬「全く……うちの姫は…。」
風馬「愛姫ちゃん、やっぱり強いねぇ♪」
神馬「姫……には見えねぇよ…。」
「ごめん、ごめん。」
噂はあっという間に広がった。
“嵐姫”が風神の姫、“風姫”になった。
「らいまぁ~薬……ゲホッ…。」
そして…
刻一刻と近づいてきてる。
私のタイムリミットが…。
朝…。
「……ん………」
目が覚めるとまだ慣れない風景。
私は自分の部屋を売り払い、風神のたまり場に住むことになった。
夏服に変わった制服に身を包む。
といっても…
白い長袖のシャツに緑色のネクタイ。
赤いチェックのスカート。
私が長袖を着る理由…それは
右肩にある……
真っ黒の薔薇。
刺青だ。