そんな春希さえも、今は煩わしい。
春希はなにもしてない。そんなことわか
ってるのに。
龍牙の───雅の仲間ってだけで、胸が
ムカムカする。
「……ありがとう」
春希目もみずに、そうお礼を言うと、雅
にまた引っ張られる。
結局さっきの質問には答えてくれないま
ま。
私が知りたいことは、何一つ教えてくれ
ない。
やがて連れてこられたのは、学校の裏側
にある駐輪場。
そこには雅のバイクがあって、いつかの
ようにヘルメットを渡された。
「被れ」
「……やっぱり私、一人で」
「それは許さない」
一人で帰る、という言葉は、雅に無理や
りヘルメットを被せられた事によって、
遮られてしまった。