「なんで私なの……」
他の人でも良かったでしょ。
私じゃなくても、きっと、もっと他に、
適任はいたはずでしょ。
雅の"姫"、なんてたち位置、望む人は、
きっと沢山いるに決まってる。でも私は
、望んでも居ないのに。
「……他の女じゃ、意味がない」
「なにそれ……」
「……帰るぞ」
それ以上の質問は受け付けない、とでも
言いたげに、雅は私の腕を引っ張り。
半ば、引き摺られるようにしてそこから
連れ出される。
「あ、待って待って、俺も行く!」
その後から春希も慌てたように出てきて
、私のそばまで来ると、にっこりと微笑
んだ。
「はい、これ。麗ちゃんの鞄」
そう言って、私の鞄を差し出してくる春
希。