ふと、そんな声と共に身体を揺さぶられ
て、私は目を開けた。



ボヤけた視界で揺れる赤色。



だんだんと焦点が定まってくると、それ
が春希だということに気がついた。



「あ、起きたー?」


「春希……?」


「そー。春希だよー。ていうか麗ちゃん
、もう下校時間だよ」



ニコニコしながらそう言う春希。



下校時間……って、え?



「下校時間……!?」



少し驚きながら身体を起こすと、さっき
まであった、穏やかな陽射しは消えてい
て、青紫の闇に包まれていた。



チャイムが鳴るまでって、思ってたのに
……。



「ずっと教室戻ってこないし、資料室に
も居ないから心配したんだよ?」


「……ごめんなさい、少し具合が悪かっ
たの」