な、何で。
何で彼はそんな嘘を言ったのだろう。
私にはよくわからなかった。

けれど、



「三浦くん!」





スタスタとひたすら前を歩く三浦くん。

追いつこうとするのが精いっぱい。




「三浦くんったら!」




雨はまだ、ざあざあと地面に降り落ちている。
音を立てて。

でも、



「三浦くんってば…っ」




―――気にならないの。