「僕と付き合ってくれない?」


遠慮がちだけど、しっかりとした低音が胸の中で広がって染み込んでいく。


私から打ち明けるはずだった言葉を、曽我部さんから聴くことになるなんて。まったく予想もしなかった言葉に、その場で卒倒しそうだった。


辛うじて繋ぎ止めていたのは、曽我部さんの真剣な眼差し。


僅かに頬を染めて、昨日見た悪戯な笑顔とは違う曽我部さんの真剣な顔に惹きつけられていた。


「はい、私も……付き合ってください」


今思うと変な答えだったけど、その時は頭の中がいっぱいで何て返したらいいのかわからなかったから仕方ない。


答えた瞬間、曽我部さんは私の手を握り締めてくれた。にこりと微笑む曽我部さんを見ていたら涙が溢れてきて、しばらく止まらなかった。