ようやく坂代駅が見えてきた。


朝晩涼しくなったとはいえ、日中の日差しはまだ突き刺すように痛くて、とくに体調の悪い時にはキツい。


窓口に諏訪さんは居るのだろうか。


考えると、急に足が重くなってくる。だけど、電車に乗らないことには家に帰ることもできない。


そっと覗いたら、窓口にちらりと制帽を被った人が見えた。制帽の周りに赤いラインがあるから駅長さんだ。


座っているのが諏訪さんじゃないとわかって、ほっとしたら足取りが僅かに軽くなる。


ちょうど一時を過ぎた頃だから、諏訪さんは昼休みを取っているのかもしれない。


逃げるように改札口を抜けてホームへと上がると、いいタイミングで電車の到着を告げるメロディが流れ始める。


座れるかなあ……平日の昼間だから座れるはず、なんて考えながら電車が入ってくる方向へと目を向けた。