学校に着くまで、私は自分から話し出さなかった。正確には、話し出すことができなかった。
香澄が話し掛けてくることに一言二言返したり、相槌を打ったりするのが精一杯。
「麻衣? どうしたの? 体調悪いの?」
休み時間ごとに香澄が尋ねてくれる。私の変化に気づいて心配してくれてるのだろうけど、
「うん、大丈夫」
と答えることしかできない。
決して、香澄に対して怒っているわけじゃない。
ただ、自分でもどうしていいのかわからなくなってるだけ。頭の中で行き場の無い気持ちが、ぐるぐる回ってるのがわかるのに止められない。
三時間目が終わる頃、本当に体調が悪くなってきた。
女の子の日が始まったからか、頭が痛くて堪らない。急いで薬を飲んだけど既に手遅れで、目眩と吐き気までしてきた。
午後からは体育祭の練習が待ってるし、もう四時間目が終わってすぐ、お弁当を食べずに早退することにした。