妹と霞駅のホームのベンチに腰を下ろして、帰りの電車を待っている。ここまでどうやって歩いてきたのか、あまり覚えていない。それほど衝撃は大きかった。
「お姉ちゃん、香澄ちゃんから聞いてなかったんだ」
こんな時も妹は私に気を遣うこともせず、言いたいことを言ってくれる。今は言って欲しくないことまでも。
「うん、知らない」
「ふぅん、そんな訳ないでしょ? 直接聞いてなくても前兆ぐらいはあったんじゃない? お姉ちゃんが気づいてないだけで」
軽く言い放たれた言葉が、ずんと胸に沈んでく。
そう、前兆は……あった。
あの日以来、口数が減って、気にしてた車掌さんのことを口にしなくなった。私たちを取り巻く空気が変わった。
本当は気がついていたのに、私は気づかないふりをしていた。