胸が疼き始める。
「お姉ちゃん? どうしたの?」
妹の声にはっとした。
食べ終えたアイスクリームのカップを両手で握り締めている私を、心配そうに妹が見ている。
「べつに……ちょっとびっくりしただけ」
と答えてから気づいた。
びっくりするはずないんだと。
香澄は親友だから私が知らないはずないのに、どうして驚かなきゃいけないんだろう。
「手、洗ってくる」
勢いよく立ち上がり、私が握り潰したのと妹のカップを取り上げた。ゴミ箱に捨てた後、フードコート内にある洗面台で入念に手を洗う。
今見てしまったものを全部、洗い流してしまいたい。だけど頭の中には、さっきの二人の姿が焼き付いて離れない。
恥ずかしそうにしながらも楽しそうな香澄、優しい笑みで話し掛ける諏訪さん、二人の顔は逆に鮮明になっていくばかり。
私は歯を食いしばった。