一通り見回した後、私の目に映ったのは香澄のバッグにぶら下がったキーホルダー。


「香澄、キーホルダー、早速買ってきたんだね」

「うん、もう落とさないように、ちゃんと千切れにくそうなのを選んだから大丈夫だよ。麻衣も確認しときなよ」


香澄が笑って答えてくれることにほっとする。


昨日の帰りの車内で口数が少なかったのは、きっと疲れていたからなんだ。言い聞かせるのではなく、そう思える。


あの揺らぎも、気のせいなんだと。


いつもと同じ、たわいない会話を交わしているうちに電車は坂代駅に到着した。


電車を降りて改札口へと向かう学生の流れに乗って、ずんずん進んでいく。


私たちの会話が無くなっていることに気付いたのは、改札口が見えてきた頃。