「ごめん、ちょっと待っててね」
と言って、駅員さんは立ち上がり、駅長室の奥へと駆けていく。
その背中を見送る私は、駅員さんの背が意外と高いことに気を取られていた。窓口越しに座っていたから気づかなかったけど……なんて不謹慎なことを考えてる。
私の隣で、香澄が小さく息を吐いた。
「大丈夫かなあ……」
不安そうに身を乗り出して駅舎の奥を覗き込もうとするけど、見えるはずはない。
「うん、きっと大丈夫だよ」
自分に言い聞かせるように答える。余計な事を考えてしまっていた自分を恥ずかしく思った。
しばらくして、駅長室の奥から話し声が聴こえてきた。駅員さんの他にも誰か居て、指示を仰ぎに行ったんだ。