夕方には帰って
また、あの気疲れする空間で過ごさなきゃいけないと思うと
知らず知らずに憂鬱な溜め息が出る。

そんな私の様子に、ようやく琴子が気付く。


「深刻なの?」


「それすら不明・・・」


投げやりな私。
琴子に当たっても、しょうがないのに・・・。


「でも、香奈って前から先輩に弱いっていうか、気、スゴク使ってたよね?」


「そうかな?」


「そうだよ。主導権は完全に先輩が握ってる感じが、いつもして。でも、何となく分かるから今まで全然疑問に思わなかったけど」


「分かるって?」


「うーん。崇人先輩って
『文句あるなら俺に付いてくるな!』
ぐらいの俺様な印象が、ちょっと、あるから」


確かに。崇人がクールに見えるのも実は、その辺からきている。


「でも、奥さんになれば香奈も少しずつ言えるようになってくかと思ってた。結婚って、そういう事なのかな~って」


「私も、そう思ってたんだけどね…」