「どうぞどうぞ」

「香奈ちゃん久しぶり」

私が、ここに引っ越してから初めて部屋に入る堅司さん。

「うわっ。変わったね~家庭って感じがする」

驚きながら部屋を見渡し
・・・動きが止まった。

「・・・琴子?」

「あれ?崇人から聞いてなかった?崇人、堅司さんに連絡しなかったの!!」

「あっ。悪い。忘れてた・・・」

えぇっ。どうしよう。

私達4人の間に流れる微妙な空気を察して、愚図りだした侑右を崇人母が抱き上げ

「ほら、そんな顔してたら楽しい事もつまんなくなっちゃうよ!!
堅司も琴子ちゃんも昔の事は水に流して仲良くやろっ」

そう言うけど・・・
琴子達は、別れてから2年ちょっと。
時間が解決してくれるには、まだ早い。

なのに、ママまでが

「そうよ。せっかく集まったんだもの。今日は楽しみましょ」

崇人母と顔を合わせて「ね~ぇ」なんて、やっている。

毒気の強い人が側にいると
影響を受けるのか

最近、ママも自分の意思をハッキリ言ったりするからビックリする。

私なんて、そういう人の側にいたら無駄に萎縮しちゃうのに。。。

「そうだな。堅司、まあ座れ」

叔父さんにあたる崇人父の言葉で諦めたのか
堅司さんは長い足を折り、崇人の隣に腰を下ろした。