「とにかく!夏休みの前に彼氏ゲットしないと!」
沙楽が必死に鈴を説得させていた。
鈴はすーっと息を吸い込み…
「私は舞と沙楽が幸せになってれば、充分なの。私がどうなろうと関係ない。二人の笑顔みてれば彼氏だろうがいらない。」
と言って、私達二人を交互に見た。
本当に鈴は優しい。
私は何かがこみ上げてくる。
「って…二人とも泣かないで!」
オロオロする鈴。
だけど、私と沙楽の頭を優しく撫でてくれた。
その手はすごく暖かかった。
ーーーーーーーーーー…
ーーーーーーーー…
「じゃあね。」
私は二人に言った。
「うん。また明日ね。遅刻しちゃダメだよ!」
沙楽がニカッと笑う。
「じゃ、沙楽いくよ。舞、またね。」
鈴が沙楽を引っ張り、私に手を振った。
「うん!またね!送ってくれてありがとー!」
二人が見えなくなるまで私は見送った。
あの二人は優しいから私を家まで送ってくれた。
ーガチャ
家に入ると聖が「おかえり。」と言ってくれた。
「うん。ただいま。」
私は上がり、リビングに行く。
「あ、舞おかえり。」
お父さんはソファに座って何かを作りながら私に言った。
「うん。何作ってるの?」
「ん?」
夢中なのか私が何を言っても返事はしてくれるが会話にはならなかった。
でも、お父さんがどんどん綺麗に仕上げて行くので私はそれが何なのか分かってきた。
「できた。」
その一声で私と聖はお父さんを見た。
「はい。舞にあげる。」
ニッコリ笑いながら私にそれを渡す。
それは…
「お守り??」
ピンク色のお守りだった。
「あ!わかった!明日のためでしょ?」
聖がお父さんに話しかける。
「あぁ。明日事故が起こらないよう無事に帰ってくるように。のお守り。」
私は涙が溢れた。
今日は泣いてばかりだ…。
「お父さん大好き!!」
私はぎゅっとお父さんに抱きついた。