「ヤバい、緊張する…。」

俺は今、ある教室の前に立っている。

「クソ、トイレ行っとけばよかった。」

(それじゃ、入ってきなさい。)

教室の中から声がした。多分先生だろう。

俺は扉の戸に手を掛け、右にスライドして開けた。

ガラガラガラ。

コツコツコツコツ。コツ。

「じゃあ自己紹介して。」

「はい。」

ヤバい、もう無理かも。

「く、黒上健斗(クロガミケント)です。趣味はエレキギターを弾くことで、特技はブレイクダンスです。ヨロシクお願いします。」

俺は首だけで礼をした。

あぁ、シーンとしてる。

メッチャ見られてる。

先生、なんか言って助けて。

って、なんで先生もポカーンてしてんだよ!

「君、なんだその格好は?」

…あぁ、そゆことね。

俺の格好は、首にはドクロと十字架のデザインのネックレス、手首には黒のブレスレットと黄色のブレスレット。髪の毛はワックスでバッチリセットされてて、香水もつけている。服装は、第2ボタンまで開けていておまけに腰パン。

そりゃ皆こうなるわ。

「これが俺にとっては普通なんです。」

「そ、そうなのか。ま、まぁ好きにしなさい。席は1番後ろの窓側だからな。」

あれ、もしかして先生。

俺にビビってる?

マジか。俺は不良でもヤンキーでもないんだがな。

自分で言うのもなんだが俺はチャラいだけだ。

「わかりました。」

まぁいいか。

とりあえず席につくか。

コツコツコツコツ。 ドサッ。

うわぁ、皆俺を避けてるわ。

最悪な始まりだなこりゃ。

「ハァ〜。」