「こ、これ!」


それは、確かにあの黒猫がくわえて行った、爽子からのプレゼントだった。
正宗さんの大きな手の中で、アンティーク調のチャームがキラリと光った。



「さっき彼が持ってきたんです」

「彼?」


思わず首を傾げた。

彼って……。


雪見障子の向こう側に、正宗さんが視線を投げたのを追いかけると、そこにはあの黒猫がちょこんと座っていた。



「……この家の猫だったの……」



黄金に輝くその瞳が、ジッとあたしを見つめている。


「いいえ、違いますよ」

「……え?」


違う?
野良猫って事?

キョトンとして首を傾げると、正宗さんはフフフと肩を揺らした。


「もしかして、トワから何も聞いてませんか?」

「……はい。全然!なにも」



力強く頷いて見せると、正宗さんは「やれやれ」と苦笑した。