「はは。すみません、自己紹介がまだでしたよね」


まるであたしの心を読み取ったみたいに、少し明るい声でそう言うと彼は、三國正宗(みくに まさむね)と名乗った。
年は25。トワとは親類関係にあたるらしい。

正宗さんはこれまた丁寧に三つ指をついて深々と頭を下げた。


「トワをどうぞよろしくお願いします」

「え、あの……こちらこそ」


慌てて同じように頭を下げると、違和感を感じた。


「って!お願いされても困ります! トワの親類って事は……あの、あたしをお嫁さんにしたいって事も……」

「ええ。もちろん知っています。占ったのは僕ですから。……それで、今日はトワの花嫁がこの家に何の御用ですか?」

「御用って、ここに来たのはたまたまです!それから花嫁って言わないで下さい」

「たまたま? それは素晴らしい。やはり貴女は千年の相手」

「……は? え、でも……あたし黒猫追っかけて……」


そう言うと、彼は「ああ、これですか?」と何かをあたしに差し出した。


それは……。