「……わかった。総司朗さんには言わない。でも、なにかあったら、絶対あたしに教えて?」

「うん。わかった」



コクリと頷いたトワ。
熱があるせい?いつもより素直な気がする。



「ありがとう、真子」

「え?あ、うん……」

「……」



長い睫の奥の、蒼穹の瞳がふわりと揺れて。
不意に真顔になったトワが、そっと近づいて……。



「って、きゃあああ!や、ちょ、ダメーーー!」

「うぐっ」



……はっ!

気が付いたら、力の限り両手で思い切りトワの顔を押しやっていた。


「ご、ごめ……」

「…………」


苦笑いを浮かべて慌てて身を引くと、不服そうに目を細めたトワがクシャリと空色の髪を掻き上げた。

ひ、人が見てるんだってば……。


「なんだしねーのか」

「ざーんねん」

「おもしろかったぁ」


いつの間にか集まっていた野次馬達が、楽しそうに散って行く。
それを、トワは不思議そうに眺めた。

うう……消えたい……。