手には長い棒のようなもの。

こっちに向かってくる。


「風里っ、逃げてっ」


お母さんの声が聞こえる。


「えっ?お母さんも逃げようよっ」


「私はいいからっ
はやくっ…」


こうしている間にもどんどん近づいてくる人影。

私は駆け出した。


はやくっ、はやくにげなきゃっ…


すぐ後ろでバンッとお母さんが長い棒で叩かれる音がする。

それも一回じゃない。何回もだ。


走って物陰に隠れる。


体が震える…


お母さんは…?


いやっ、見たくないっ…‼


私このまま死ぬの?


お父さんも多分死んじゃった。