朝。いつも通り登校して、自分の席について、かばんから一冊の本を取り出す
何度も何度も読み返した大好きなケータイ小説。
何度読んでもどきどきする気持ちは変わらない。
どうやったらこんな素敵な恋ができるのかな......。
廊下で固まっているグループの会話が耳に入る。
あそこの人たちは全員彼氏がいるらしい。
「昨日彼氏とデートだったんだー」
「私も私もー!」
「私は今日がデートなのー」
あまりにも現実的すぎて面白くない。
私はしたいのは運命の恋。
そう簡単にはできないって分かってはいるけれど、望んでしまう。
「はぁー」
ため息を1つつき、校庭を見下ろす。
校庭には学校へ登校してきたたくさんの生徒たち。
その中に私は親友の姿を見つけた。
「みぃーやーん!おはよー!」
私は窓から身を乗り出すと大声でその子に向かって叫んだ。
名前を呼ばれたその子は驚いた様に上を見上げた。
私が手を振ると、笑顔になり、
「さやおはよー!!」
と叫んでくれた。
私の一番の仲良しのみさき。通称みーやん。
声に出して言った事はないけれど、私は親友だと思っている。
みーやんは美少女。
なのに男の人に興味がないらしい。
教室に入ってきたみーやんは自分の机にかばんを置き、私の机に向かってくる。
そしていつも通り、いつもと同じような本を取り出した。
「さやー、占いしよー」
みーやんは占いが好きだ。
「えー、いいけど......。昨日もやったじゃん。結果って何か変わるの?」
「今日のは新しい本なんですー。だから昨日よりも面白い!」
確かに今日の本はいつもとは違う。
「分かった、面白いんだったらやる!」
そう言うと、みーやんは顔を輝かして、
「この占いがさやにぴったりだと思うんだ!」
と本の付箋をしてあるページを私に見せてきた。
「......運命の再会?」
「そう!運命だよ運命!さやいつも運命の恋がしたいって言ってるし、ぴったりだなーって」